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ポルト
27歳のマヴィは、最近パリへ引っ越してきたばかり。不器用な彼女は気ぜわしい都会生活に馴染めずにいるが、ある日、従業員募集の貼り紙を頼りにカルチェ・ラタンの小さな古書店を訪ねる。そこで出会ったのは、謎めいた店主ジョルジュ。祖父と孫ほどの年齢差にもかかわらず、書物について言葉を交わし互いの孤独さを共有するうち、ふたりは徐々に惹かれあう。それは、風変わりで、静かで、けれど情熱的な愛。だがジョルジュには古書店店主とは別の、闇に包まれた過去があった。マヴィは彼の過去に触れるうち、自らもまた新たな人生へと一歩踏み出していく・・・。パリの古書店を舞台にくりひろげられる知的でロマンティックなラブストーリーであり、ひとりの女性が自分の人生を選択するまでのちょっと奇妙な成長譚。
マヴィ役は、イザベル・ユペールの娘で舞台や映画で活躍する注目の女優ロリータ・シャマ(『マリー・アントワネットに別れをつげて』)。ジョルジュ役は演技派俳優ジャン・ソレル(『昼顔』)。またマヴィの友人役で、ヴィルジニー・ルドワイヤン(『8人の女たち』)も出演。監督は、フランスの期待の新鋭エリーズ・ジラール(『ベルヴィル・トーキョー』)。実際にパリ、カルチェ・ラタンにある書店を借りて撮影された本作。ベテラン撮影監督レナート・ベルタ(『パリ、恋人たちの影』)による映像は、光と闇に満ちた現代のパリの風景を見事に捉え、どこか幻想的なこの物語を美しく彩る。
1974年、フランス生まれ。大学で脚本について学んだ後、演劇教室などで女優養成講座を受講しながら、『哀しみのスパイ』(エリック・ロシャン、94)、『ヴァン・ゴッホ』(モーリス・ピアラ、91)等に端役で出演。1997年、ジャン=マルク・コース、ジャン=マリ・ロバンと出会い、彼らが経営する〈シネマ・アクシオン〉系列の映画館で広報を担当する。カルチェ・ラタンの名画座系映画館に親しんでいくなかで、それらをテーマにした中編ドキュメンタリー2本『孤独な勇者たち《シネマ・アクシオンの冒険》』(03、未)、『ロジェ・ディアマンティスあるいは本物の人生』(05、未)を監督。2011年には、初の長編劇映画『ベルヴィル・トーキョー』を監督。ヴァレリー・ドンゼッリとジェレミー・エルカイムを主演に、妊娠時期をシングルで過ごした情緒不安定な女と、父親になることを受け入れられない男のすれ違いを巧みに描きだした本作は、日本では2013年に《フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ》特集の1本として公開され、話題を呼んだ。『静かなふたり』はエリーズにとって長編二作目となる。
1983年10月1日、パリ生まれ。映画一家に生まれる。父はプロデューサーであり、古いイタリア映画を配給・修復するロナルド・シャマ、母はイザベル・ユペール、上の弟ロレンゾは名画座「クリスチーヌ21」のプログラム担当、下の弟アンジェロはアメリカで映画を学んでいる。幼少時より演技の仕事を始めたロリータ・シャマは、母イザベル・ユペールが主演したクロード・シャブロル監督作『主婦マリーがしたこと』(88)とヴェルナー・シュレーター監督作『マリーナ』(91)に出演することで映画界でのキャリアを開始した。15歳のときに、ローランス・フェレイラ・バルボザ監督の『現代の生活』に配役され、神秘的なティーンエイジャーを演じる。その後、コリーヌ・セローやクレール・ドゥニやクレール・シモンの監督作のほか、ミア・ハンセン=ラブ監督のデビュー短編『Après mûre réflexion』(04、未)、マルク・フィトゥシ監督『コパカバーナ』(10、未/主演はユペール)、ブノワ・ジャコ監督『マリー・アントワネットに別れをつげて』(12)等に出演。舞台では、コリーヌ・セロー演出作に二本出演している。一つはモリエール作『女房学校』(アニェス役)、もう一つはオスカー・ワイルド作『サロメ』(サロメ役)。近年、マリリン・モンローの自筆メモ・書簡・詩を編んだ遺稿集『マリリン・モンロー 魂のかけら』(井上篤夫訳、青幻舎)にインスパイアされて、自身で脚本を書いた一人芝居をおこなった。
1934年9月25日、仏マルセイユ生まれ。カペー王家の末裔。リベルテ誌の創立者である父親は、第二次世界大戦で戦死。1956年から57年にかけて、アルジェリア戦争に従軍。当初外交官を目指して高等師範学校で学んだが、俳優志望に転向。1959年にボリス・ヴィアン原作・脚本、ミシェル・ガス監督『墓にツバをかけろ』(未)で準主役を演じて映画デビュー。翌年『殺したいほど好き!!』(ジャック・ブールドン、59)とイタリア映画『十七歳よさようなら』(アルベルト・ラットゥアーダ、60 )で注目を浴び、後者以後イタリア映画への出演も積極的にこなすようになる。以後、主にフランスとイタリアで映画やテレビに出演し続けている。かつてはその美貌から、しばしばアラン・ドロンと比較された。そのほか、『狂った情事』(マウロ・ボロニーニ、60)、『橋からの眺め』(シドニー・ルメット、61)、『輪舞』(ロジェ・ヴァディム、64)、『熊座の淡き星影』(ルキーノ・ヴィスコンティ、65)、『昼顔』(ルイス・ブニュエル、67)、『デボラの甘い肉体』(ロモロ・グェッリエ リ、68)、『殺意の海』(ウンベルト・レンツィ、69)、『トレイダー・ホーン』(レザ・S・バディ、73)等に出演。現在、『祖国は誰のものぞ』(ナンニ・ロイ、62)での共演がきっかけとなり、1963年に結婚したイタリア人女優アンナ・マリア・フェッレロと共に、パリに在住。
1976年11月15 日、イル・ド・フランスのオーベルヴィリエ生まれ。祖母は舞台女優で、2歳の頃からモデルとして広告やテレビCMに出演し、9歳から演劇学校に通い始める。10歳で『蒼い衝動』(ジャンフランコ・ミンゴッツィ、87)に出演し、映画デビューを果たす。『冷たい水』(オリヴィエ・アサイヤス、94、劇場未公開)、『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』(クロード・シャブロル、95)、『カップルズ』(エドワード・ヤン、96)、『8月の終わり、9月の初め』(オリヴィエ・アサイヤス、98)などに出演、1999年頃からハリウッド映画にも進出し、『ザ・ビーチ』(ダニー・ボイル、00)ではレオナルド・ディカプリオと共演した。その他の出演作に『8人の女たち』(フランソワ・オゾン、02)、『ボン・ヴォヤージュ』(ジャン=ポール・ラプノー、03)などがあり、『マリー・アントワネットに別れをつげて』(ブノワ・ジャコ、12)ではロリータ・シャマと共演している。これまでに、セザール賞主演女優賞に三度ノミネートされている。
1977年7月、仏ソワジー=シュル=セーヌ生まれ。『Les amoureux』(カトリーヌ・コルシニ、94、未)で映画デビューし、映画監督としても活躍している。主な出演作に、ミステリー映画『Peau d'homme coeur de bête』(ヘレン・エンジェル、99、未)、『Dernière séance』(ローレン・アシャール、11、未)、『Jours de France』(ジェローム・レーボー、16、未)など。エディット・スコブ、カトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・ルブランらが出演したポール・ヴェキアリ監督の『劣等生』(15、劇場未公開)では、ヴェキアリの息子役を演じた。
フランスの脚本家。『インティマシー/親密』(00)、『ソン・フレール 兄との約束』(03)、『ガブリエル』(05、未)など、パトリス・シェローの映画作品で共同脚本を多く手がけている。その他の脚本を手がけた主な作品に『a.b.c. の可能性』(パスカル・フェラン、95)、『逢いたくて』(トニー・マーシャル、02)、『マンク〜破戒僧〜』(ドミニク・モル、11)など(すべて共同脚本)。また女優として『L'ennemi naturel』(ピエール・エルヴァン・ギヨーム、04、未)などにも出演している。
1945年3月2日、スイス生まれ。これまでに、アラン・タネール、ジャン=リュック・ゴダール、アラン・レネ、マノエル・ド・オリヴェイラなど、多くの実力派映画作家たちの作品を手がけてきたベテラン撮影監督。なかでもダニエル・シュミット映画には欠かせない存在で、デビュー作『今宵かぎりは︙』(72)から『ラ・パロマ』(72)、『カンヌ映画通り』(81)、『ヘカテ』(82)、『トスカの接吻』(84)、『季節のはざまで』(92)、『書かれた顔』(95)など数多くの作品を手がけた。撮影を担当したその他の主な作品に『サラマンドル』(アラン・タネール、71)、『勝手に逃げろ/人生』(ジャン=リュック・ゴダール、79)、『満月の夜』(エリック・ロメール、84)、『嵐が丘』(ジャック・リヴェット、86)、『労働者たち、農民たち』(ストローブ=ユイレ、00)、『家宝』(マノエル・ド・オリヴェイラ、02)、『パリ、恋人たちの影』(フィリップ・ガレル、15)などがある。1987年の『さよなら子供たち』(ルイ・マル)ではセザール賞撮影賞を受賞。エリーズ・ジラール監督の前作『ベルヴィル・トーキョー』でも撮影を手がけている。
1963年7月19日、フランス生まれ。作曲家、音楽プロデューサー、シンガーとして仏アヴァンギャルド・ポップ・シーンを牽引してきたブルガラは、音楽レーベルTRICATEL(1995年設立)の主宰としても知られている。2000年に初のソロアルバム『The Sssound of Mmmusic』を発表。また同年には、作家ミシェル・ウエルベックの音楽アルバム『Présence humaine』の作曲・プロデュースを手がけ、同レーベルから発表している。カジヒデキ、カヒミ・カリィ、ピチカート・ファイヴといった日本人アーティストとも交流が深く、来日コンサートも行っている。映画音楽を手がけた作品に『カドリーユ』(ヴァレリー・ルメルシェ、98)、『ヴィオレッタ』(エヴァ・イオネスコ、14)などがある。 エリーズ・ジラールの前作『ベルヴィル・トーキョー』でも音楽を担当している。
地域 劇場名 期間
仙台 仙台セントラルホール 4月14日
京都 京都シネマ 近日
広島 横川シネマ 近日