1974年、フランス生まれ。大学で脚本について学んだ後、演劇教室などで女優養成講座を受講しながら、『哀しみのスパイ』(エリック・ロシャン、94)、『ヴァン・ゴッホ』(モーリス・ピアラ、91)等に端役で出演。1997年、ジャン=マルク・コース、ジャン=マリ・ロバンと出会い、彼らが経営する〈シネマ・アクシオン〉系列の映画館で広報を担当する。カルチェ・ラタンの名画座系映画館に親しんでいくなかで、それらをテーマにした中編ドキュメンタリー2本『孤独な勇者たち《シネマ・アクシオンの冒険》』(03、未)、『ロジェ・ディアマンティスあるいは本物の人生』(05、未)を監督。2011年には、初の長編劇映画『ベルヴィル・トーキョー』を監督。ヴァレリー・ドンゼッリとジェレミー・エルカイムを主演に、妊娠時期をシングルで過ごした情緒不安定な女と、父親になることを受け入れられない男のすれ違いを巧みに描きだした本作は、日本では2013年に《フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ》特集の1本として公開され、話題を呼んだ。『静かなふたり』はエリーズにとって長編二作目となる。
27歳のマヴィは、最近パリへ引っ越してきたばかり。不器用な彼女は気ぜわしい都会生活に馴染めずにいるが、ある日、従業員募集の貼り紙を頼りにカルチェ・ラタンの小さな古書店を訪ねる。そこで出会ったのは、謎めいた店主ジョルジュ。祖父と孫ほどの年齢差にもかかわらず、書物について言葉を交わし互いの孤独さを共有するうち、ふたりは徐々に惹かれあう。それは、風変わりで、静かで、けれど情熱的な愛。だがジョルジュには古書店店主とは別の、闇に包まれた過去があった。マヴィは彼の過去に触れるうち、自らもまた新たな人生へと一歩踏み出していく・・・。パリの古書店を舞台にくりひろげられる知的でロマンティックなラブストーリーであり、ひとりの女性が自分の人生を選択するまでのちょっと奇妙な成長譚。
マヴィ役は、イザベル・ユペールの娘で舞台や映画で活躍する注目の女優ロリータ・シャマ(『マリー・アントワネットに別れをつげて』)。ジョルジュ役は演技派俳優ジャン・ソレル(『昼顔』)。またマヴィの友人役で、ヴィルジニー・ルドワイヤン(『8人の女たち』)も出演。監督は、フランスの期待の新鋭エリーズ・ジラール(『ベルヴィル・トーキョー』)。実際にパリ、カルチェ・ラタンにある書店を借りて撮影された本作。ベテラン撮影監督レナート・ベルタ(『パリ、恋人たちの影』)による映像は、光と闇に満ちた現代のパリの風景を見事に捉え、どこか幻想的なこの物語を美しく彩る。