鹿島田真希
クロートカヤ――穏やかで、瑞々しく、自虐的な少女が、
圧倒的な身体性を纏ってスクリーンに現れる。
九十分後のラストに映し出される「たったひとすくいの血」のために、
どれだけ表現者の才能が費やされ、
自己犠牲に対する共感が、酷薄に要求されたのだろうか。
kanoco
衝撃な画から始まったこの物語。
必要ないものを省いたからこそ人間の気持ちの移り変わりが感じ取れるのだ。
男心と言う名の自尊心はとても繊細でありながら、とても頑固だ。
柔軟じゃないその思考も私は嫌いでは無い。
小林エリカ
ドストエフスキーのペテルブルグの街をパリの街にして読み替えてのけたブレッソンの大胆さと、 ドミニク・サンダのあどけない妖婉さが、映画の隅々にまでゆきわたっていてこれぞ最高の意味でリアルで「幻想的な物語」。
蓮實重彥
女優はこのように撮れと、ブレッソンはいっているかのようだ。そう思って視線を向けた画面で、ドミニク・サンダは、一瞬ごとに、女優を遥かに超えた女へと、艶めかしく変貌してゆく。
濱口竜介
「嫉妬」は2人が異なる事物であるという単純な事実によって起こる。カメラはそのことを示し続ける。ただ、踏破する足が、受け渡す手が、投げかける声が、そして瞳が、事物同士を束の間つなぎ止める。瞳は本、彫刻、演劇、テレビ、映画、銃、女の肢体をつかまえようとする。女が男を見つめ返すとき「やさしさ」が事物の間に立ち現れ、そして消える。断言できる。これは最も贅沢なブレッソンだ。
山城むつみ
ドストエフスキーは饒舌だが、ブレッソンは寡黙だ。いささかもドストエフスキー的ではない。にもかかわらず、ドストエフスキーの本質を捉えている。原作にはないドミニク・サンダの入浴シーンは、見えるはずのないものを私たちに見せてくれる。
渡辺大知
音が、カットが、人物のわずかな動きが、物語に次から次へと化学反応を巻き起こす。一組の男女のすれ違いを、視線で表現したブレッソンの演出にドキドキさせられました。
主演のドミニク・サンダに恋せよ!