「クリーン」「夏時間の庭」等、アート系の良質なフランス映画をリ リースしてきた若き巨匠オリヴィエ・アサイヤス監督が映画作家とし て勝負にでた「カルロス」。
ここ数年世界中で最も注目されてきた伝説のテロリスト、イリッチ・ ラミレス・サンチェスの半生を史実や報道をもとに描いたこの作品は 全3部上映時間5時間超えのフランス映画史上まれにみる超大作です。 1974年ロンドンにおける経済界の大物殺害未遂から1994 年ハルツームで逮捕されるまでの20年間、テロ14件、殺害83人、 負傷者100人以上の事件に関与したといわれるカルロス。主人公 カルロス役を演じたエドガー・ラミレスは「会った瞬間に映画の成功を 確信した」と監督が絶賛するハリウッド期待のラテン系ニューカ マー。日本赤軍によるハーグのフランス大使館占拠、ウィーンの OPEC総会襲撃等、実在の事件をリアルなアクションで再現した迫 真の映像は「24」や「ジェイソン・ボーン」シリーズをはるかにしのぐ衝 撃をみるものに与え、息もつかせぬスピード感で描かれたテロリスト の軌跡は、アクションの本場アメリカでも絶賛の嵐!銃と女を愛し革 命を夢見た男の栄光と挫折の物語は、9.11同時多発テロ事件以 後を生きる私たちに世界を見つめる新たな視点を提示しています。


ベネズエラの活動家イリッチ・ラミレス・サンチェスが暗 号名カルロスを名乗り、数多くの事件を起こしプロのテロリ ストにのし上がっていく過程を描いた第一部。日本赤軍に よるハーグの仏大使館襲撃の後方支援、オルリー空港で のイスラエル機砲撃、パリのトゥーリエ街における警官殺 害等、ハリウッドのアクション映画をしのぐ鮮烈な描写の連 続がみるものをテロリストの日常へ一気に引きずり込む。革 命を夢見る男の栄光はいつまで続くのか。
銃と女を愛した孤独なテロリストの人生最高のクライ マックスが壮大なスケールで描かれる第二部。西独革命 細胞(RZ)、パレスチナ解放人民戦線(PFLP) の同士 たちと共にウィーンのOPEC 本部を襲撃、アラブ諸国の 代表団を人質に取るカルロス。関係者を飛行機で誘拐し アルジェリア、リビア、チュニジア各国で革命の正義を訴 える彼らに全世界のメディアが注目する。一躍ヒーローに なったカルロスだが栄光の瞬間が長く続かないことに彼は まだ気づいていなかった。
米ソ冷戦の終結で世界秩序の変化が起こり、革命家と しての役割を大きく変貌させていくカルロスを描いた第三 部。シリアに守られ東ヨーロッパに拠点をもうけた彼らは莫 大な大金を動かし武器の密輸を行い、ヨーロッパにおける テロ黒幕として暗躍していたが、やがてベルリンの壁崩壊 と共に支援者を失い最果ての地スーダンへと逃れる。各 国の情報機関に終われ、酒と女に溺れていくカルロス。 テロリスト人生の終末が徐々に迫ってきていた。